A Thousand Winds:千の風になって
「千の風になって」 新井 満 講談社 \1,000
タイトルの本は、新聞広告で知り、昨日いきつけの本屋さんで買いました。
買ってすぐ、お昼ご飯を食べに入ったおそば屋さんで読みました。
作者は分からず、わずか12行の短い詩。(私が読んだのは英文の方です。)
1度目、読んで涙がじわっと出てきました。本を閉じてご飯を食べながらも涙が止まりませんでした。
2度目は、食事が終わった後で読みました。泣いてしまいました。
3度目は、大学院でのゼミが終わった後、アパートに戻って読みました。やっぱり涙が出てきました。
その詩を読んで思い出したのは、18年前に病気で亡くなった父親のこと。葬式の間もその後も、一滴も涙が出なかった私。時間が経つほどに風化しそうな父との思い出…なのにこの短い詩を読んだときに、無理して忘れようとしなくていい、泣きたいときは泣いていいんだと感じました。
"I am a thousand winds that blow" (和訳:私は千の風になって あの大きな空を吹き渡っています)という一行を見て真っ先に思い出したのは、雲一つ無い青い空。
ツアーコンダクターだった父親は、年に数回は海外旅行の添乗をしていました。
父は大の飛行機好きで、いつもうれしそうに仕事の話をしていました。
小さい頃に何度か、手を引かれ、飛行場へ一緒に行きました。コックピットの中を見せてもらいました。
体調が悪いにもかかわらず、当時導入されたばかりのB-767に乗るためだけに、東京へ出張し入院を1日遅らせた父。最後まで空を飛ぶ夢を持ち続けていた人でした。
本を読んで何度も泣いた後、残ったのは暖かくて、静かな気持ちでした。
父親は、そう遠くへ行ったわけではない、と気がついたのです。
月3往復の飛行機通学をする今、38,000フィート(約11,000メートル)上空を飛んでいると、時々父親の事を思い出します。下に雲を見ながら青空の中を飛んでいると、父の存在がもっと身近になるのです。確かに彼は空の上を風が駆けめぐるように自由に飛んでいるような気がします。
その時から、空や吹く風や、すべてのものが違って感じられるようになりました。
空を飛べばいつでも父に会える、そう思うと、私はとても癒され一人ではないと強く感じます。
空ゆかば いつでも会える かの父に
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