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与える人生

 2週間ぶりにやっと、記事を書いてみようという気持ちになりました。

 8月に入り、大学病院の方が20日間の研修期間(つまりお休み)に入り、スクールカウンセラーも8月いっぱいはお休み、そしてクリニックもいつもの半分の勤務となり、残るはK市の幼児健診のみです。

 この休みの間に、学位論文の副論文(学位論文の一部となる論文)を2本、これが教授が私に出した宿題です。そういうわけで、休みといっても結局毎日大学と大学病院を行き来する生活が続きます。私は博士課程の最終学年にいて、つまりは崖っぷちに立たされている訳です。(しかも論文の1本は英文…!)

 1週間前、看護学校で前期最後の授業をしたときに、私は学生さんたちに一つだけアドバイスをしました。

 「皆さんが将来看護師として働き始めてから、皆さんの人生にはいろんなことが起こるでしょうし、壁にぶち当たることがあるかもしれません。しかしどんなことが起こっても、皆さんは患者さんの前ではプロの看護師として責任を持って働かなければならないのです。私たち(臨床心理士)も、同じです。だからこそ、ふだんから自分をいたわりケアする心がけが大事なんです。」

 私は今、このことを心から実感しています。

 数日前まで、私は心身共に疲労がピークに達していました。食べることも眠ることも、全てが思うようにいきませんでした。それでも必要とされれば、カウンセリングは続けなければなりません。どんなにしんどくても、相手のことを考えると休むわけにはいかないと思いました。

 先週の木曜日、私は大学病院と出張先の病院を含めて1日に6人の面接が予定されていました。その日の朝私は全く落ち着かず、とても全部をこなせる体調ではありませんでしたが、それでもできるだけやるしかない、と覚悟を決めて病院に向かいました。ところが病院についてみると受付から伝言が入っていて、体調や都合が悪いという申し出で4人がキャンセルになり、その上もう1人の患者さんが車の事故で道路が渋滞し、予定の時間に間に合わないという連絡があったというのです。

 思いがけずぽっかりと時間が空いてしまって、これからどうしようかと考えていたら、病院のスタッフが気をきかせてくれて、外に出てちょっとゆっくりしてくれば、といってくれました。

 お昼休みを挟んで2時間、私は市内を散歩しました。何も考える気力がなく、ただぼんやりと歩き続けました。初めは身体も気持ちも重く、何で私はこんなことをしているんだろうと思いました。しかし歩き続けていると、段々と気持ちが落ち着いてきて、これは偶然ではなく、必然的に与えられた休息なのだ、とふと考えました。

 散歩から戻って1時間少したったころ、遅れると連絡のあった患者さんがカウンセリングを受けにこられました。その時には、私はずいぶんと冷静さを取り戻していました。結局、残りの患者さんも予定通りに来られたので、無事にその日の仕事を終えることができました。

 調子のいい時に比べると、プロの援助者としては決して満足のいく結果ではありませんでした。しかし、私ははっきりと分かったのです。

 たとえ身体が動かなくても、気持ちが沈んだり辛くなったりしても、それでも誰かのために何か少しでもできることは残っている、と。 

 愛されなくても他人を愛することは、多くを望まなければできるでしょう。与えられないからといって、与えることができないとも言えません。たとえほんの少しのことでも、与えられるより与える人生のほうが、はるかに幸せなのです。

 このブログも一度は閉鎖しようと考えました。でも、まだ伝えたいことがたくさん残っているから、やっぱり続けようと思っています。ここを訪れて下さる方々に、私の記事が少しでも何かの参考になり役に立つならばこれほどうれしいことはありません。皆さんには本当に感謝しています。

 
 

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Comments

でも,ただただ与えるだけでは,疲れてしまいます。
無理はしすぎないでくださいね。

これからも更新,たのしみにしております(^^)。

Posted by: ガンジー | 2005.08.02 at 07:43 AM

お久しぶりです。
この記事を読みながら、Sanaさんの疲れ(心身ともに)が伝わってきて、「そんなに無理しないで」という気持ちになりました。
けれど、今日の内容の中で一番心に響いた言葉、
「たとえ身体が動かなくても、気持ちが沈んだり辛くなったりしても、それでも誰かのために何か少しでもできることは残っている」
この言葉は、辛い中でこそ生まれた言葉なのだろうなとも思いました。
Sanaさんの記事にはたくさんの考えさせられること、教えていただくこと、そして癒される言葉があります。
無理はなさらなくていいのですが、blogを続けていただけると嬉しいです。

Posted by: sakura | 2005.08.02 at 01:49 PM

>ガンジーさん、sakuraさん、

 お気遣いありがとうございます。
今はそれほど悲壮な状態ではありませんし、多少のゆとりをもって毎日を過ごしています。

 一方的に与えるばかりではないですし、何か人のためにできるということに、小さな喜びを感じられることが何よりだと思っています。

Posted by: Sana | 2005.08.03 at 11:57 PM

This is since it does not stain simply. Retro furniture is one thing that must be on your reclining chairs although sitting on the porch.

Posted by: Nardi Garden contract | 2015.06.21 at 11:44 AM

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