できることを使って生きていく
連休中、義父が倒れました。心臓がちょっと悪くて、これから手術をするそうです。
軽度の心筋梗塞で、発見が早かったので大事には至らずにすみそうです。
連休をはさんで2週間、実家だけでなく仕事上でもあり得ないような事件が起こったり、波乱づくしでごたごたとしておりました。少し落ち着いたと思ったら、仕事が急に忙しくなりブログまでとても手が回らないほどになってしまいました。
今日やっと、ゆっくりできる時間ができて、久しぶりの更新です。
おとといぴょろと2人で近くの本屋さんで時間をつぶしていたら、「光とともに…」7巻を見つけました。興味はあるのですが、何故か手がつけられなかったマンガで、中学校の保護者に紹介しながらも自分自身は全部は読めていませんでした。
7巻も時間がなくてまだ全部は読んでいないのですが、読みながらふと気付いたことがありました。
何度やってもどうしてもできないときは、できることで工夫する、その切り替えが大切だということに。
今まで私は、自分自身に対してもぴょろに対しても、苦手なこと、できないことを少しでも克服するために努力しなくてはならないと思っていました。何度やってもうまくいかない事に対して、当事者として親として自分を責めることがよくありました。
だけど、この本を読んでいたら、「できないことを無理してできるようになる必要がない」と分かって、こころがすうっと軽くなりました。
できることなら…いっぱいある。それらをうまく使って生きていけばいい、と思ったら、できないことばかりにこだわっていた自分が愚かに思えました。ぴょろにもつい、みんなと同じ方法でできるようにならなければ、と思ってしまうのですが、方法がどうであれ結果が満足できるものならそれでいい、と考えるようになり、ぴょろへの不満が大分少なくなってきたように思います。
ごく最近になって、私は純粋なADHDではなく、多少アスペルガーの傾向を持っていると気付きました。私は自分のことを大雑把な人間だと思っていたのですが、同じ傾向がある患者さんと話しているうちに、それほどひどくはありませんが、私にも数字や順番など、普通の人が全く気にしないことへの強いこだわりがあることに気がつきました。多少OCD(強迫性障害)っぽいところがあって、自分が決めた順番を乱されると不安になるのです。家事の手順など、日常生活のささいなことがほとんどで、病気というまでには至りませんが、すごくぼんやりして抜けた部分に、妙な几帳面さを兼ね備えているのが、真実に近い私の姿なのだと理解できました。
アスペルガー傾向、と考えるにはそれなりの心当たりがあって、それは私の母親の行動を注意深く観察することで、さらに確信に近いものとなりました。今までBPD(境界型人格障害)だろうと思っていた母親は、実は私よりもっとはっきりとアスペルガーの特徴を持っていることに気付いたのです。彼女ほどではなくても、多少その傾向を引き継いでいると考えると腑に落ちます。
今思えば、私の人付き合いの不器用さは、単に不注意や早とちりから来ているわけではない、と分かります。少数のグループや専門職の人たちとの仕事関係のつきあいならついていけるのに、「保護者の集団」になるととたんに何を話して良いやら分からず固まってしまう、そんな特徴一つを取り上げてみても、ADHDだけとは言い難い…と今は冷静に思えるのですが、自分の事はなかなか分からないものです。
そんな私の「再発見」の時期に手に取った「光とともに…」を読んでいたら、今のままでもいいんだよ、と言われているような気がして、ちょっと涙目になってしまったのでした。
できることを使って生きていく、この言葉をしっかり心に刻んでこれからやっていこうと思います。
光くんのお母さんほどにはなれなくても、現状を受け入れつつぴょろの事を心底愛することのできる親でいたいと思います。
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Comments
sanaさん、いろいろ大変だったんですね。sanaさんの気持ちが理解できるので私も純粋なADHDではないんだろうなーと感じてます。友人と二人で話すのは好きだけど、集団だと固まってしまいます。一旦決めた行き先や順番を急に変更されると不安になります。
そして、できないことを見つけては落ち込み無理して克服しようとしんどくなっていましたが、できることを使って生きていくという発想には気づきませんでした。でも、今日から私もできることに目を向けていこうと思います。大切な気づきをありがとうございました。光とともには、私も読みました。子供にとっては、心底愛してくれる親が何よりも嬉しい頼もしい存在だと思います!私も働く母なので、一緒に過ごす時間が短くても、心底愛していれば愛情は子供に伝わるんだ~と信じてます。
Posted by: ジャスミン | 2005.05.14 10:28 PM
いつも読ませてもらっています。
スペシャルな息子がいます。
出来るようになってもらおうと思うと
彼に随分と強制や無理を強いた上で、
失望や落胆や自己不安等
マイナスの感情をたくさんと感じさせて、
ネガティブな人格を形成させてしまうと
思っています。
だから、「出来ることで対処する」を
大事にしたい、能力に関わらず、
自己肯定のしっかりした子に…と思ってます。
出来なくてもなんとかなればそれでよし(^_^)
気持ちいいスタンスですよね♪
Posted by: shiba | 2005.05.14 11:54 PM
ああ、まさにわたしは、がんばれ、努力が足りない、と育ててきてしまったんです。アスペとは知らなかったとはいえ。今、21歳、二次障害に苦しんでます。自己評価がものすごく低く,友人0、数字へのこだわりが高じてギャンブル依存症にもなってます。でも、臨床心理士いわく、いいところもいっぱいありますよ。、、、それを信じ、なんとかやってます。ここでも、ものすごくはげまされます。
Posted by: マーキー | 2005.05.15 06:07 PM
おひさしぶりです。
大変な日々をお過ごしだったんですね。
今日のSanaさんの日記を読んで、「光とともに・・・」は3巻までしか読んでいなかったのですが最後まで読みたいと思いました。
「できることを使って生きていく」。
私自身にとっても必要な言葉です。
もしかしたら私は軽度の発達障害なのではないかと思っています。
何とかこれまで生きてこれたのでこのままやっていけばいいのかもしれませんが、なかなか自己肯定が難しいです。
のだめ12巻を読んだおかげで今は「これでいいのだ!」といういい気分になっていますが。
Sanaさんの日記を読んで、私も現状を受け入れることから始めようと思いました。
Posted by: Botan | 2005.05.15 09:47 PM
なかなか更新がなかったのでお体の具合でも悪いのかと心配していました。お義父さんの具合が良くなかったのですね。どちらにしても大変なことでした。
私もアスペルガーの疑いのある息子を今後どのように導いてあげたらいいのかすっかり煮詰まってしまっています。集団での息子の行動は和を乱してしまうところがあります。そのままそこには目をつむってあげるのが彼のためなのか、和になじませるべく努力した方がいいのか、ちょっとした判断も息子の未来がかかっている気がして悩む日々です。
私もいつでも息子を心底愛する親でありたいと思います。
Posted by: loveangel | 2005.05.16 08:25 PM
>ジャスミンさん、
一緒にいる時間の長さよりは「中身」で勝負するしかないですよね…働いていると。お互いに時間を大事にしながらやっていきましょう。
>shibaさん、
他のところで時々お目にかかっておりました。どうもありがとうございました。何とかなると構えたら、本当に何とかなるものですね。
これからもよろしくお願いします。
>マーキーさん
知ったときからが始まりです。今からでもできることは十分ありますよ。脳機能の一部は大人になっても発達するんです。ご本人にあった援助方法が見つかりますようにお祈りしています。
>Botanさん、
お久しぶりです。
「のだめ」12巻、私も読みました。ありのままを受け入れるのは、以外に難しいものだと私もいろいろと経験して思います。自分を理解することは、周りを理解するためにも必要かもしれません。
>loveangelさん
いつもありがとうございます。
集団ルールを教える上で、ある程度の訓練は必要かと思いますが、何度やってもできない時は、一つの個性として捉え、集団への影響をできるだけ抑えるための工夫をされるのがよいかと思います。
Posted by: Sana | 2005.05.19 12:12 AM