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ぴょろは知っていた(3)

 自分の状況を自分なりに理解しているぴょろですが、学校や家庭で相変わらず注意されることは多いです。怒られ慣れているのか、「あ、またか」という表情で素直に謝るところはまだかわいいかも…。

 最近は以前のように「~しなさい」という言葉が段々と通用しなくなってきていますので、戦略変更を余儀なくされ、「私はこうして欲しいと思っているが、やるかやらないか、いつやるのかは自分で考えるように」と時に意識して言い方を変えています。特に私自身もあまり出来ていないことをぴょろに注意する時は、「お母さんも人のこと言えないけど、これをちゃんとやった方が、あとから良かったと思えるだろうから言うんだよ」とひとこと添えるようにしています。

 ぴょろの成長と共に、親子の関係も少しずつ変わらざるを得ませんが、ぴょろにはなんだかんだ言ってもどこかでは自分を好きでいてもらいたいと願っています。

 
 私は発達障害を抱える本人へ知らせるにあたっては、慎重に行うべきという考えを持っています。自分の状態を他人から知らされることは、程度の差はあっても気持ちが動揺しますし、衝撃も受けます。ぴょろのような子供でも、タイミングが合わなければもっと受け入れるのに時間がかかっていただろうと思います。また、自分の抱える問題を受け止められるだけのこころの準備ができていないと、診断名をつげられても直面することができないか、あるいは本人を追いつめてしまう結果になってしまいます。

 はっきりと状態を告げることが、本人にとってプラスに働くかどうかの見極めが必要です。

 さらに家族関係への影響も考慮しなければなりません。本人と家族との関係が安定していなければ、すぐには知らせないこともあります。また本人が自分の状態を知ることで家族関係のバランスが崩れると予想されるときには、家族が落ち着くまで本人とは別に家族への援助を行うことも考慮します。

 本人が知りたいと望み、本人の準備や家族関係などの条件がある程度満たされていれば、私はこれからも発達障害について説明をするだろうと思います。ただし診断名を告げるかどうかは、その時々の判断に任せたいと思います。

 発達障害を抱えての思春期は、いわゆる定型発達の子どもたちとは少し違った配慮が必要だとよく言われています。例えば社会性の発達などへの影響や、自己概念(自分がどのような人間であるかという自己定義)が育ちにくいなど、それぞれの立場でいろんなことが言われています。しかしそれでも発達障害自体のスペクトラムは大変広く、子どもたちが思春期をどのように過ごしていくのかは、本人のもつ資質だけでなく、環境の影響も大きいため、こうすればうまくいく、という共通の答えはないのです。親として不安は残りますが、自律へ向けた「学びの時期」ととらえるならば、必ずしも苦しいことばかりではないと言い聞かせる毎日です。

 中学校でカウンセリングをやっていると、同じような発達上の問題を抱えながらも、非常に目立ったかたちで現れる子供と、あまり目立たない子供がいます。たとえきちんと診断を受けていなくても、子供が持つ特徴を十分に理解し対応されている場合と、そうでない場合とでは、中学生くらいの年齢になると発達という点では明らかな差が出てくるように思います。発達障害への理解や対応が十分でないケースで、思春期のこころの揺れに覆い被さるようにして目に見える行動や問題が次々に出てきたときに、「思春期だから」という言葉で片づけられていることも案外多いのではないかと思います。だからこそ、早いうちに発見し支援する必要がある、と小児科医が繰り返し強調する理由が理解できるような気がします。


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Comments

子供は脳性麻痺のため、右手と右足が不自由ですが、あるとき「傷害は治るの?」と聞かれ「脳の障害だから、治ることはないけど、訓練を続ければ動きやすくなるよ」という話をしたことがありました。
子供は一生治らないということを知ってショックを受けて泣

Posted by: みいみ | 2005.04.28 at 10:21 PM

途中で送ってしまいました。

ショックを受けて泣いたことを思い出しました。
本人に自覚があるため障害のことを隠してはいませんでした。
小3の子供に「治る」というウソをつくことは、結果として後で裏切ることになるため出来ませんでした。
「あなたが生まれてきてくれて本当にうれしかった」と私の気持ちは伝えましたが・・・・。

Posted by: みいみ | 2005.04.28 at 10:33 PM

「自己概念が育ち難い」事には、周囲にモデルが居なかったり、先生や親から要求される事柄が、自分の内面の要求と明らかに異なる事の混乱が影響しているせいも有ると感じるこの頃です。
社会では少数派の自分を明確に理解する時期は、外部からの援助が無ければ、遅くなるのがあたりまえのように思います。
我が子にも診断名は伝えていませんが、自己理解の正確さには常々驚かされてきています。 でも・・・、分かっていても、「実行機能障害」とでも言えるような、「結果を出せない」状況は改善しないのですが。

あと一つ・・・。
「発達障害への理解や対応が十分」であっても、やはり思春期にはトラブルが避けられないケースも有るという点が、専門家にとってはあたりまえすぎるのか、家族にはあまり伝わってこないのです。
その為に、思春期で起きてしまったトラブルはかつての自分の対応が悪かったからなのだろうか?と、悩んだ時期があります。 専門医に明確に否定して頂くまで、結構苦しかったので、ここでも言わせて頂いてしまいます!

「思春期は身体の変化が大きい時期なので、それまでのトラブルが自然に治まる事も有れば、従来無かった内発的トラブルが表面化する事も有る」 そうですね。

Posted by: こもれび | 2005.04.29 at 09:33 AM

家にも幼稚園に通うアスペルガー症候群の息子がいますが、告知については考えてもいませんでした。とてもデリケートな問題なのに息子の前で何の配慮も無くアスペルガーの話をしていました。今のところはあまり影響がないようですが、今後は考える必要もあるのでしょうか、、、つたないブログですが日々の出来事をつづったブログをやっています。そちらにリンクをはらせて頂いてもよろしいでしょうか?これからもよろしくお願いします。

Posted by: loveangel | 2005.04.30 at 07:58 AM

>みいみさん、

 書き込みをありがとうございます。
 お子さんがご自分の障害をこれから少しずつ受け入れていくために、みいみさん自身がお子さんとこれからもよりよい関係を築いていかれるようにと願っています。

>こもれびさん、

 いつも言葉足らずな私の記事に、ご指摘をいただいてありがとうございます。確かにおっしゃるとおり、専門家の目で見てしまうと、見落としがちな点がたくさんあるのではないかと思います。こちらが当たり前と思っていても、ちゃんとご家族には伝える必要があることも多いですね。

>loveangelさん、

 ありがとうございます。リンクはどうぞご自由になさってください。こちらもよろしければ相互リンクを張らせていただけるとうれしいです。

 お子さんがもう少し大きくなられて、小学校3,4年生になる頃には、自分のことも大分分かってきますので、その時には少し配慮が必要になるかもしれませんね。

Posted by: Sana | 2005.04.30 at 11:58 PM

発達障害のこと「実行機能障害」という表現、ヒットです!思わず書き込んでしまいました。
以前、会社に傷病手当金の診断書を書いてもらったとき「高機能自閉症」ときちんとかけず、「自律神経失調症」としかかいてもらえなかった記憶があります。堂々といえるのは最近になってからですからね。

Posted by: みっちゃん | 2005.05.01 at 01:31 AM

お返事ありがとうございます。早速リンク集に入れたいと思います。息子がアスペルガー症候群の疑いを感じたときから拝見させていただきとても参考になりました。私のつたないブログでよろしかったらどうぞリンクをはっていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。

Posted by: loveangel | 2005.05.01 at 03:44 PM

こちらこそ、重箱の隅を突くようなコメントになってしまってごめんなさい。 Sana様のブログからは、新しい視点を頂いたり、情報の整理をさせて頂いて、楽しみに読ませて頂いております。
きっと、著者の主題に沿った見方だけでは無く、自分でこだわりを感じている事柄に関して細かいことが気になるのは、私自身にASDの特徴が入っているのだと自覚するこの頃です。 非難の意図は有りませんのでお許し下さい。

Posted by: こもれび | 2005.05.01 at 04:41 PM

>みっちゃんさん、

 確かに最近になってからですね、大人の自閉症スペクトラムに光が当たるようになったのは。これからもっと理解が広まるといいですね。

>loveangelさん、

 こちらこそ、よろしくお願いします。
連休明けには、こちらからもリンクを張らせていただきますね。

>こもれびさん、

 気になる点は大いにこだわっていただいて構いません。私自身、こもれびさんのコメントから学ぶことは本当に多いですから、助かっています。決して非難という受け取り方はしていないので、ご安心下さいね。

Posted by: Sana | 2005.05.02 at 02:07 AM

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