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カウンセラーの資格(2)

 さて、臨床心理士の資格についても触れておきたいと思います。

 まやさんがコメントして下さったように、臨床心理士はおそらく今あるカウンセラーの資格の中では最難関の部類に入ると思います。

 それは試験が難しいというだけでなく、試験を受けられるかどうかの基準も厳しいということです。

 他のカウンセラーの資格と違う点は、「大学院卒」でしかも学会が指定する学校を出ないと受験資格がないということです。平成17年度までは移行期に当たるので、当該大学院以外の学校を平成15年までに卒業している事を条件に受験が認められていますが、これからは指定校のみの扱いになります。

 2005年度の臨床心理士養成指定大学院は全国で115大学院ありますが、それぞれの大学院で受け入れる人数はまちまちです。私の所属するK大学の大学院では、年間15人前後を受け入れていますが、大学院によっては5名程度と少ないところもあります。

 ですから、指定大学院に合格すること自体が、難関なのです。中には競争率が30倍以上という大学院もあるようです。本当に狭き門です。

 さらに、指定大学院は1種と2種に分かれていて、1種大学院は卒業後すぐの年に受験ができますが、2種は卒業後1年間の実務経験を経て受験資格が与えられます。

 私のように海外の心理系大学院を卒業した人は、卒業後2年間の実務経験が受験の条件となります。(なぜ2年なのかは未だに謎ですが)

 そうやって、指定大学院を卒業し、受験資格がそれぞれに与えられるのですが、試験がこれまた難しいです。

 試験は1次試験(マークシートと論述試験)と2次面接の2回行われます。1次試験については、「臨床心理士になるために」という手引きが毎年発売され、その手引きの中に3年分の過去問題があるので、それを中心に勉強していくのですが、毎年毎年どんどん中身が難しくなっていて、「勉強したことが出題されない試験」として、私たちの間では有名です。

 特に今年からは、出題傾向が大きく代わり、基礎的な問題の割合が少なくなり、臨床問題が多くなりました。その臨床問題も、実際に経験していないとなかなか分かりにくい問題で、中には「今の有資格者でも分からないのではないだろうか」と思える問題も出題されていて、非常にショックを受けました。

 マークシートは100問、2時間30分の時間内で解いていきますが、時間が足りないという人も少なくありません。

 同じ日に、論述試験も行われ、一つのテーマについて1200字以内で答えるように求められます。

 1次試験の合格者は大体7割程度、と言われていますが、今年は大分難しかったらしく、私の周囲にも何人か不合格者がいました。

 1次試験に合格すると、2次面接の案内が来ます。指定された時間に会場に来て、面接を受けるわけです。

 この面接は15分と短いのですが、そのためにまた東京に行かなければなりません。北海道や沖縄から来る人は時間も交通費もかかるので大変です。以前にも書いたように、面接官は2人づつで、一度に20名程度の受験者が面接を受けます。質問の内容は一応決められているようですが、面接官によっては決められた質問以外のことを訪ねる人もいて、誰に当たるかが受験者の一番の心配事です。

 面接では主に、これまでの臨床経験や専門分野、また将来どのような臨床をやりたいかなどについて聞かれます。

 私のように、他の国家資格を持っていて中途からの転職組は特に、何で臨床心理士になりたいのか必ず聞かれます。私を面接して下さった先生方は優しかったので、あまり根掘り葉掘りは聞きませんでしたし、「どうしても勉強したかった」私の気持ちをちゃんと理解して下さったので安心したのですが、中にはそれだけで15分を費やした例もあったらしく、油断はできません。

 このようにわずかな時間で行われる面接でも、1割程度の不合格者が出る、という噂です。

 こうしていろんな難関を乗り越えて晴れて「臨床心理士」として認定され、社会に出て行くわけです。確かにここまでくるのも大変だったので「よくやった」と自分を褒めたいところですが、実際にはここからが大変なのです。

 臨床心理士は、国家資格のように1度取ったらずっと有効というわけではありません。5年ごとの更新が必要なのです。そして更新の条件として、臨床心理士認定協会が認定する学会や研修会などに定期的に参加し、基準以上の研修ポイントを稼いでおかなければなりません。基準に満たないと、更新できなくて、再度試験を受け直しということになるわけです。

 つまり、試験に終わったからこれでよし、にはならず、「これからもっと勉強して下さいね」ということなのです。

 どこまでも厳しい資格です。

 そのように自己研鑽を積んでこそ、社会的に信頼される仕事が出来るのだろうと思います。しかしその前に私個人としては、資格のあるなしではなく、本当に他人に対し専門家としての倫理を守り、知識を役立てたいという気持ちを持ち続けることが何よりも大切なことだと、常に自分に言い聞かせています。


 臨床心理士の資格について興味のある方は、日本臨床心理士資格認定協会(http://www4.ocn.ne.jp/~jcbcp/)をごらんになるか、

 臨床心理士養成指定大学院ガイド2005 大塚義孝編 (こころの科学) 日本評論社

をご参考になられるとよいでしょう。また、身近に臨床心理士の方がおられるようでしたら、実際に働いておられる方の生の声を聞いてみるのも、いろいろ知る機会になると思いますよ。


 …ということで、もう少し風邪が治るまでおとなしくしてます。


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