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孤独の闇

 あと3日でいよいよ試験。でも今日も仕事は休みではありません。
同じ大学院の卒業生で、今年一緒に受験する人たちは、さすがに今週1週間は休みを取って勉強しているらしいですが、私はそういうわけにもいかず、いつもと同じように仕事をし、その合間で勉強を続けています。

 もう、あがいても仕方ないので、今のキャパでやるしかないです。だめなら来年受けるだけ。

 週末は台風も来るらしいし…、この前の学会に続いてまた台風は私を追いかけるつもりらしいです(笑)。

 
 私は、今でも時々配偶者の暴力の後遺症に悩んでいます。この2年くらい、私の眠りはとても浅く、少しの物音でも目が覚めます。警戒心が強くなっていて、背後から人が近づいてくると、びくっとします。

 こういうのは、いわゆる心的外傷後ストレス障害(PTSD)の残存症状です。

 多分病院に行けば、薬を飲むように勧められるでしょうが、今は病院には行っていません。(自分は仕事しているけど…)

 以前より楽になったけど、今でも自転車をこいでいたり、誰かと話をしていて突然怖かった出来事を思い出すこともあります。自分が講義をしているときには、講義に集中できるし、カウンセリングをやっているときはそれに集中しているけど、それ以外の日常では、いまだにぼんやりしてしまうことがあります。

 でも、配偶者が来れば、そんなことなかったかのように、ふるまわなければなりません。

 ぴょろが心配するからです。

 ぴょろにとっては、なんだかんだ言っても、やっぱり配偶者は大事な家族の一員だから、いなくなってほしくはないんだと思います。気持ちが通じなくても、嫌なこと言われても、それでも父親であることにはかわらない。

 だから、ぴょろには弱音を言うことはできません。辛くなっても、ぴょろの前では平気な顔をするしかありません。

 家庭内の暴力は、DVでも虐待でも子供から親や兄弟への暴力行為でも、被害を受けた人が相談できる場所がありません。犯罪被害者支援も、第三者からの被害に対しては相談窓口があるけれど、身内が加害者の場合、なかなか相談に乗ってくれません。

 時々、誰かに話したいと思うことがあっても、誰に話していいか分からないのです。

 友達が全くいないわけではないけれど、配偶者を知っている人にこんな話をしてもどうせ分かってもらえないか、私が悪口を言っていると言う風に受け取られかねないので、やっぱり誰にも言えません。

 同業者で信頼できそうな人でも、なかなか言えません。不安定な私が、同じような問題を抱える人たちの援助をすることを快く思わない人もいるからです。

 私は、DVや虐待の最大の問題点は、身体的な負傷よりむしろ、家庭という密室で起きたことのために、他人との関係が失われてしまうことだと思っています。

 時々私は、「自分の事を分かってくれる人はもう誰もいないのではないか」と思います。このまま死んでも、誰にも見つけてもらえないし、悲しんでくれる人などいないのではないかと不安になります。

 人は周りにいるけど、誰ともつながっていない、自分だけが切り離された感じがします。

 その孤独感とは、まるで深い闇のように、終わりなくおそってくるような気がします。その孤独感から逃れたくて、私は頼まれたことを断り切れず、わざと何も考える余裕がないくらい忙しくしているのかもしれません。これ以上孤独になることが怖くて、結局実家とも配偶者とも、無理をして関係を続けているような気がします。

 相手を許すことは、相手の行為を受け入れることとは違うということも、「愛情をもって離れる」手段があることも、頭では分かっています。

 しかし、これまでに周囲の無理解にさんざん泣かされた私には、この孤独の闇に勝てるだけの自信も、それを手助けしてくれそうな人も見つかっていません。死の誘惑がやってくると、自分で命を絶ってしまいたい衝動と、ぴょろをちゃんと一人前に育てなければという思いと、私を信頼して相談に訪れて下さる患者さんたちや教え子たちへの責任感との板挟みになり、今のところは後者が勝っているからこうして生きているけれど、そういうものが全部なくなってしまったら、多分私はこの世にいられなくなるかも、と考えることがあります。

 DV被害者の支援をやっていて、同じような訴えを聞くことがあります。私も同じような体験がある、と言いたい。でも、支援中は自分の事は話せないので、ぐっとこらえながら、黙って話を聞いています。

 他人には見えない、「閉ざされたドアの向こうで」起こる様々な暴力の被害を受けている人たちへの支援は、他の犯罪被害とは別枠で対応する必要があると、常々考えていました。今のシェルターやDV被害者支援システムだけでは足りないことがまだたくさんあるように思うのです。

 私は、確かに自分自身が孤独に押しつぶされそうになっているけれど、その一方で「絶対このままで終わるもんか」という気持ちも持っています。

 こういういろんな思いを形にするために、来春、「ファミリーサポートサービス」という民間支援組織を立ち上げようと計画しています。

 

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Comments

私は20年前、最初の夫からDVを受けていました。
心因反応と言う病気になり、
実家に逃げて怯える日々を過ごしました。
今の夫は、そんな過去を受け入れてくれてます。
二人の子供にも恵まれました。
上の子は私の連れ子(養子縁組しています)で、
以前コメントしましたがADHDの傾向がある子です。
精神的に弱い私ですが、
「子供たちの為にもがんばって生きて
この子達はあなたを選んで生まれてきたのだから」
と神様が授けてくださったのかなあなんて思います。

Posted by: 姐さん | 2004.10.07 at 11:05 AM

つらいお仕事ですね。
嫌でも我が身を振り返らざるおえない。
それなのに、自分の事を話して気持ちを分かち合う事が出来ないなんて。

複雑な気持ちを抱えての毎日、くれぐれも疲れすぎて気持ちが壊れてしまわないよう。
うまくコメントできなくてごめんなさい。

Posted by: なお。 | 2004.10.08 at 09:14 AM

姐さん、

 コメント遅くなりました。いつもありがとうございます。
私のような第三者がえらそうな事は何も言えませんが、今の生活を大切にして、過去から学んだことをこれからに生かしていかれますように…。

なお。さん、

 気持ちを分かち合える人と出会えるかどうか、それが今の私にとっては大きな問題ではないかと思います。

 壊れない程度に、セーブしたいと思っています。ご心配ありがとうございます。

Posted by: Sana | 2004.10.17 at 12:32 AM

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