« 人生は学びの場 | Main | 自分の人生に責任を持つ »

動揺(Disturbance)

 今日は少しいやなことがありました。

 配偶者がK市に遊びに来ていたときに知り合った人と、今日ある場所でばったり会いました。その時に、「彼は本当にいいダンナさんでよかったね」と、開口一番に言われました。

 私は何と言っていいか分からず、「そうですね」とだけ答え、手短に挨拶をすると、その場を去りました。

 こんな事、今までに数えたらきりがないくらいありました。どう見ても端からは、穏やかで優しそうに見える配偶者。だからこそ、家の中でこの人がいったい何をやってきたのかを、どうしても言えないし、言っても信じてもらえない、その繰り返しでした。

 この何気ないほめ言葉は、私をとても動揺させました。その人と別れて家に戻ってから、今までずっと、子供の頃の事や、配偶者が暴力をふるっている場面を繰り返し、繰り返し、思い出したくないのに思い出してしまうのです。あれは私の記憶違いなんかじゃない、確かに起こったんだと分かっているけれど、そして、その時の身体の痛みまでよみがえってしまうのだけれども、自分の感覚を信じたくない気持ちがどこかにあって、もしかしたら、私が間違っているのではないかと不安になってしまう。

 母親のことも、「あんなに優しそうなお母さんがそんなことするわけない」とどれほど言われたことか。

 そして配偶者の事を、信頼していた人に話したら、DVだとも気付いてもらえず、逆に「あなたがもっと反省しなければいけない」と諭されてしまった。

 「あんないいダンナが…」という言葉は、できるだけ言って欲しくない。

 そう、確かに優しいときもあるし、人当たりもいいから周りがおかしいと気付くことはないかもしれません。本当にみんなが思っているような配偶者なら、なぜ私は今、腕や肩が震え、しめられた首のあとが痛み、まるで時間があのころに戻ってしまったような感覚を味わわなければならないのでしょう?

 母親のことも配偶者の暴力も、確かに彼らがやったこと自体痛かった(というより下手をすると命がなかった)けど、それ以上に私を苦しめてきたのは、私の話をだれも信じてくれなかったことでした。

 今、消えてしまいたい気持ちをようやく支えているのは、明日病院でPTSDの患者さんのカウンセリングの予定があることと、講義を最後まで終わらせなければという責任感だけかもしれません。おっと、ぴょろの存在もストッパーにはなっていますけど、逆にぴょろがいるから落ち込んだ顔を見せられない辛さもあります。

 私が消えてしまいたい理由は、私の言葉を信じてくれる人なんて多分誰もいないだろうと思っているからで、だからこそ、その反対に同じような状況にある人を何とか助けたいと思っている、そんな矛盾だらけの中で、孤独に耐えている状態なのです。カウンセリングの上では、信頼してもらえていることを感謝する気持ちを忘れないように努力しているのですが、仕事を離れると、自分も人も信頼するのがとても難しいし、果たして本当に私という人間は、誰かに信頼されているのだろうか、と絶えず疑問を抱いている。

 母親や配偶者に変わって欲しいという気持ちは全くありません。今はむしろ、彼らをかわいそうだと思います。ただ、難しいと分かっていても、周囲には私が話した事は本当に起きたことなんだと、せめて「そんなことがあったんだ」と受け入れて欲しかった。誰か一人でもいい、「あんな優しそうな人が…」と言わないで、「辛かったね」と言ってくれていたら、ここまで過去の出来事を引きずらずに済んだかもしれません。

 今は、眠れない夜をただ過ごすだけです。時が経てば、少しは落ち着くことを願いつつ。


 

 
 

|

« 人生は学びの場 | Main | 自分の人生に責任を持つ »

Comments

こんにちは!
確かに時間は色んな物を変えるのに大切ですよね。でも、その真っ只中にいるときは、辛くて壊れそうになっちゃう。時間なんて気休めな言い方に聞こえたりして・・・今でも、あの頃を思い出したくないのに思い出して悲しくなることがあります。きっぱり忘れたいのに忘れられない。なぜでしょうね?人間はそういう生き物だからでしょうか?私は自分が自分の大切さを感じたから生きていられるのでしょうか?自己愛と自分を必要とする人間がいるということ。sanaさんの辛さ、私はわかります。きっと他にもいる筈です。がんばってください!(*^-^*)

Posted by: 姐さん | 2004.10.18 at 03:37 PM

姐さんへ、

 記憶自体はどうやっても消えるわけではないので、こちらが態度を変えるしかないのでしょうね。思い出して悲しくなることがあっても、結局誰かを支えたり支えられたりして生きていることが、こういうトラウマを乗り越える大きな助けになるのではないかと思います。
 今はまだ、そういうつながりが持てないので落ち込んでいるんですけどね。

Posted by: Sana | 2004.10.19 at 09:57 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10227/1706150

Listed below are links to weblogs that reference 動揺(Disturbance):

« 人生は学びの場 | Main | 自分の人生に責任を持つ »