先行投資~未来への土台作り
あと1日で、新学期が始まります。
今は、明日からの学会の準備や、大学の定期試験、後期の授業の準備と、ぴょろの転校手続きや引っ越しなどで、とても忙しく、メールを見たのも3日ぶりという状態です。
ぴょろが転校するかしないかで、大分もめましたが、結局9月初めから転校することになりました。
毎年、4月と9月は、学費納入の月です。この時期になると、学費をどうするかで悩みます。私の通う大学院は、費用が比較的安いですが、それでも年間に約70万円の授業料を払わなければなりません。これまでは、いろいろあったけれど最後は配偶者が出してくれていました。今年は、この時期に引っ越しを決めたので、その諸費用を出してしまったあと、学費をどこから捻出すればいいか思案中なのです。
私も仕事での収入はありますが、これまで1年半は、そのほとんどが、沖縄との往復航空運賃と、学会参加費用に消えていて、今は蓄えがほとんどない状態です。学会といっても、いろいろあって、年間6つ前後に参加するようにしているのですが、年会費、大会参加費用、交通費、宿泊費、これらすべては全くの自前です。頑張って稼いでも、学会の度に消えていく運命にあります。
この、航空運賃と学会参加費用にお金をかけることが、配偶者にはどうしても気になるらしいです。それがなければ、学費を援助する必要がなくなる、というのも大きな理由の一つなのでしょう。しかし、節約できるところは節約しながら、(例えばマイレージをうまく使うとか、ホテルのインターネット予約で割引率のいいところを利用するとか)、続けてきました。
学会への参加は、研究者としての実績作りのためでもあり、学ぶべき事を学ぶためでもあります。だから、確かに安くないお金ではありますが、私は自分が出したお金は、それ以外のところで十分還元されてきたし、これからも必ず何らかの形で自分に戻ってくると信じています。今はちょっと大変だけど、これは先行投資なんだ、と思うようにしています。
先行投資は、何もお金に限ったことではないと思います。
おととい、通勤途中の電車の中で、「グッドラック」という題名の本を読みました。2人の騎士が魔法のクローバーを探しに行くという物語なのですが、ある場所に必ず生えるという魔法使いの言葉を信じてお城を後にした2人の騎士が、実際にその場所に行ってみると、こんな所に生えるわけがない、と言い渡される。それを聞いた騎士の一人は、他の情報を探しながら、どこかで奇跡にすがろうとして結局何も得られず、そしてもう一人は与えられた情報を元に、自分にできることをやったら、生えないと言われた場所に、魔法のクローバーが芽を出す、という結末になっていました。
私はこの本を読んで、苦しい体験も、一種の先行投資なんだな、と思いました。
やせた土地にいくら種をまいても、そのままでは成長しないで枯れてしまいます。種が育つには、土を掘り、新しい肥えた土を入れ、種が育つ条件を整えてやらなければなりません。
人生の中の苦しい体験とは、ある意味土を入れ替えるようなものではないかと思うのです。体験を通して、人の苦しみを理解し、どう助けたらいいか学ぶための、あるいは生きる目的や意味を見つけるための、土台作りの役割を担っているような気がします。苦しい体験は、それを受けた人のとらえ方次第では、大きな成長のきっかけにもなると思います。
今やっていることがすぐには結果が出ないと分かっていて、それでも続けるというのは大変な努力を必要とします。苦しいときに、少し先の事を考えるのは人間にとって難しいことです。それでも、自分の可能性を信じながら一つ一つを乗り越えていく、その先には、きっと今までとは違う何かが待っているような気がします。ちょうど、自分の持てる力と資源を使い最善を尽くし、最後に魔法のクローバーを両手いっぱいに手に入れた、白い騎士のように。
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