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弱さを大切に

 今日から神戸で学会が始まりました。
先週末の学会とは全く雰囲気も違って、かなりProfessionalというか研究色が濃いというか、とにかく圧倒されそうです。

 今日は、私の二番目の専門であるPTSDのワークショップに参加してきました。長時間でしたが、私の興味が切れることなく、非常に集中して聞くことができました(注:国際学会なので、全部英語のセッションです)。

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断・治療や疫学についての講義やワークショップをこれまでに結構受けてきたことと、昨年から論文作成や学会発表のために文献を読みまくっていたこともあって、すでに周知の内容が多く、レクチャーもわかりやすかったです。

 …が、今日は一つだけ困ったことがおきました。

 PTSDについての話題になると、結構実際のケースの話などが引用されます。今回のワークショップで話題提供として出たケースが、私の状況と似ていたんだと思います。途中で、急に過去の事を思い出してしまいました。それだけでなく、首を絞められた時の首のあたりの痛みの感覚が、講義の途中で出てきてしまい、しばらくずっと残っていました。

 お昼休み、気分を切り替えるために、会場近くをしばらく散歩しました。(今日はすごーく暑かったんだけどね)

 それから会場に戻ったときに、声をかけられた人としばらく立ち話をしていたら、自然と痛みが消えて午後からは何の問題もなくワークショップを受けることができました。

 PTSDの研究に関わっていて、時々こういったことが起こります。

 これまでだと、どうしよう…と混乱することもありましたが、開き直ってしまった今は、「あ~、また弱いところが出てきたなあ」くらいにしか考えなくなりました。

 不思議なことに、患者さんと一対一で面接しているときには、PTSDの症状を自覚したことがありません。これまで犯罪被害者支援をやってきて、私よりもっと衝撃的な体験を聞くことも少なくありませんが、それでも聞いたからといってこちらまで思い出す、ということはなかったです。

 ただ、面接が終わると、それまでの緊張が一気に抜けるからか、はたまた私の頭が日常モードに戻るからか、がらがらと崩れてしまうのでした。

 こんな時、一人でどうにかしようともがいていたのが以前の私でした。突然思い出したり体が反応したり…というのは時間が経つと自然におさまることが分かっているので、「何もしないでじっとしている」というのが私のいつものやり方でした。

 カウンセラーは、相談者との関係についてのいろんな制約があるので、基本的には自分のことを話さないし、自分の弱さを他人に見せることをいやがる人が多いです。

 でも、最近、こういう距離を置いた関係はすごく不自由かもしれない、と思うようになったのです。

 人を助ける職業であることを意識しすぎると、自分が人から助けられることもあるということを受け入れるのが難しくなります。だけど、カウンセラーも人の子、弱さもあるし私生活では問題だらけ、ということも少なくありません。実は援助職(看護士、臨床心理士、作業療法士などの専門職)の人が一番、自分の弱さを認めることが難しいのかもしれません。

 相手は自分の一番弱いところをさらけだして援助を求めざるを得ないのに、自分は手の内を見せないし援助を受けたがらない、それはなんだか人間としては不自然な気がしました。

 そのままで生きていく事にまだ全然慣れていないけれど、ごく最近からもしかしたら私が弱さを認めてしまった方が、これからいろんな人と関わっていく上ではプラスになってもマイナスになることはないのではないか、と思うようになりました。

 PTSDの症状が出たら、「ちょっと今日はしんどいなあ」と言ってもいい。眠れない時、不安や恐れが突然おそってきたとき、自分でコントロールしようとしてもうまくいかないことがあれば、「ちょっと力を貸して」と信頼できる人には言ってもいい。そういう風に自分の弱さも全部大切にしながら、不自由を当たり前にして生きて行けたらいいなあと思っています。

 明日は学会2日目、私の所属する研究室の先輩の発表を見に行きます。

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Comments

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