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療育のチカラ

 水曜日と木曜日は、毎週学校のスクールカウンセラーの仕事をしています。

私の住むK市では、中学校はほぼ全校に配置されています。私は中学校1校と、高等学校1校が受け持ちです。

 学校にカウンセラーを配置した最初の頃は、不登校生徒の心理的支援をするためというのが第一の目的でした。しかし、現在は、生徒や保護者の相談、教職員からの相談、メンタルヘルスの向上のための支援、と段々とやることが増えてきています。

 私が特に力を入れているのが、軽度発達障害を持つ生徒の支援です。

 私が派遣されている中学校には、カナータイプの自閉症の生徒さんがいて、通級でのフォローがなされています。この生徒さんには、専任で教師が対応しており、私は直接の支援というよりは、先生を支援する、という形をとっています。

 しかし、普通学級には、他にも明らかに発達障害がある生徒さんがいて、その子たちのクラス内や家庭での問題について、担任の先生方から相談を受け、対応について話し合い、本人たちと面接をし障害の程度や問題のアセスメントや心理的な援助を行う、というのが、学校での私の主な仕事の一つになっています。

 昨日は、一日の半分はこの発達障害の相談に費やされました。

 K市は、派遣されている中学校だけでなく、その校区内の小学校についても要請があればスクールカウンセラーが対応するというシステムをとっています。それで、小学校からの発達障害の相談もときどき入ってきます。

 これまで2ヶ月ほど、学校で仕事をするなかで、とても実感したことがあります。

 おそらく高機能自閉症やアスペルガー症候群だろう、と判断できる子どもたちは学校全体ではそれほど数は多くないものの、そのほとんどの子どもたちの両親が、とても子どもへ対応できる体制でない、ということです。

 この子たちは、小学校就学前診断でも見過ごされ、小学校の6年間で様々なトラブルを起こしながらも、発達障害に気づいてもらえないまま、中学校へ進学してきています。中学校で、どうも他の生徒と違う行動が目立つ、と担任の先生が相談に訪れて初めて発見される、というパターンがほとんどです。

 先生方はほとんどが「どう対応したらいいのか」悩んでいます。発達障害が軽度であまり目立った問題を起こさない子ほど、学校での発見も遅れます。大抵相談にくるきっかけというのは、クラスでの小競り合いや集団行動になじんでいない、という目に見える形での何か問題が発生した時です。しかし、よくよく話を聞くと、もっと前からすでにいろんなサインが出ているのに…と思うことも少なくないです。

 そして、家庭でも全く気づかれないまま、あるいは、ほとんど何の対応もなされないまま、学校にお任せという状態の生徒さんもいます。

 学校では、知能検査などの正確な診断ができないため、生徒さんの状況によっては、医療機関か児童相談所へ紹介をする必要が出てきます。しかし、それをご両親に話す段階で、理解してもらえたという体験があまりないのです。結局、伝えたあとも病院には受診してもらえず、放置されたまま、という結果に終わることの方が多いようです。

 見ただけではなかなか分からない、軽度の発達障害の子どもたちですが、私の目からは結構ストレスがたまっているなあ、とか、こういう時にはやりづらいだろうなあ、というのが見えてきます。担任の先生の中には、家庭での対応に期待できないのに、学校で何ができるんでしょうか?と尋ねる人もいました。

 でも私は、いまからでも遅くないから、学校でできる療育をやってみましょう、と励ますようにしています。

 他の生徒や先生との関わり方、学習の方法、余暇の過ごし方、社会スキルの訓練…と、学校でもできることはあります。本来は家庭でなされるのが望ましいことですが、その全部はできなくても、少しでも実践を続けることで、かならず何らかの結果は得られる、というのが私の考え方です。

 これまでに、大人の発達障害の方々に関わってきて、早期に発見されなくても、発見された時から「生きにくさ」への介入をすることで、発達障害の程度がワンランク軽くなるという手応えを得てきました。

 中学生の子どもたちであれば、もっと反応は早いです。

 一番大切なこと、それは、先生も私たち専門職のスタッフも、子どもたち一人一人を見守り、必要な事を、必要な時に援助するということではないかと思います。

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Comments

はじめまして。私は子供が小さい時からこの軽度の障害について気がついて早いうちから児童相談所や医者に相談して対策をしてきましたが、それでも環境的には段階に応じてその場の対処するのが現状であり、具体的なトレーニングを教えてくれたりするような専門的なことはありません。せいぜい個人で調べてできることからやっていくしかないようです。

ましてや学校における対応はあまりにも遅れており、ほとんどの先生方が知りませんよね。地域格差もあるのでしょうね。ここに書かれてあるように親がこの問題について無理解なのは・・・恐ろしいことです。

Posted by: miyashu | 2004.06.10 at 10:05 PM

はじめまして。私は子供が小さい時からこの軽度の障害について気がついて早いうちから児童相談所や医者に相談して対策をしてきましたが、それでも環境的には段階に応じてその場の対処するのが現状であり、具体的なトレーニングを教えてくれたりするような専門的なことはありません。せいぜい個人で調べてできることからやっていくしかないようです。

ましてや学校における対応はあまりにも遅れており、ほとんどの先生方が知りませんよね。地域格差もあるのでしょうね。ここに書かれてあるように親がこの問題について無理解なのは・・・恐ろしいことです。

Posted by: miyashu | 2004.06.10 at 10:06 PM

miyashuさん、コメントありがとうございます。
確かに、地域差は大きいかもしれません。私がお仕事をしている地域は、これでも比較的発達障害については同じ県の他の地域よりは対応の進んでいる方だと聞いています。
今一番頭の痛いことは、子どもたちを児童相談所や地域の発達障害専門の機関へつなぎたくても、子どもの発達障害の存在を保護者が受け入れられる状態でないから、と学校側が消極的になっていることです。先生方への説明や説得にも時間が費やされているのが事実ですね。

Posted by: Sana | 2004.06.11 at 06:41 AM

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