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あなたの子に生まれて

 今日は母の日ですね。
ぴょろは、来週だと思っていたようで、あわてていましたが、「お母さん、大好き」と言ってくれました。

 もう、その言葉だけで十分。

 明日のお昼までには、K市に戻らなければならないので、ぴょろが寝ている間に家を出ます。ちょっと寂しいけど、週末にはまた帰ってくるからね、と寝る前のぴょろに声をかけておきました。

 毎年母の日が来ると、私は複雑な気持ちになります。

 ブログに私個人の事を書くのは、インターネットの性質を考えるとかなり勇気のいることです。私自身でさえ今まで向き合えなかった、一番辛い部分をあえて表に出すのに、ためらいがなかったわけではありません。

 それでも、言葉にして表現してあげることで、ひとつの区切りをつけてあげたい…そういう気持ちで臨んでいます。

 私の母親は、境界型人格障害(BPD)という問題を抱えています。ちょうど、ココロが3度の熱傷(やけど)を常に負っているような人です。人のちょっとした言葉や態度に傷つきやすく、感情は常に不安定でいったん怒るとコントロールがききません。

 小さい頃は、一歩間違えば死ぬかも、という体験もしました。回数的には多くありませんが。

 しかし、私にとって一番辛かったのは、言葉の暴力の方です。いつも私だけに向けられたわけではありませんが、それが当たり前のように繰り返され、傷の上にさらに傷を重ねるような毎日でした。落ち着いている時は普通の「お母さん」、だけどいつ感情が爆発するか分からないので、近寄りたくても近寄れないし、自分を出すこともできない、常に不安と混乱の中で過ごしてきました。

 私が親となって、子育ての大変さを味わってみて、ようやく母親の苦しさというものも少し受け入れられるようになりました。心理の勉強を始め、ようやく母親の問題の根深さを知り、ただ相手の言動をがまんするだけではよくないということをやっと理解しました。

 母親とどうつきあっていけばいいのか、今もその答えはまだ見つかりません。全く接触を持たないということは不可能です。しかし、去年の一件があってから、今もまだ、実家に足を運ぶことがどうしてもできないでいます。

 今の私の心の中には、苦しみながらも育ててくれた事への感謝の気持ちと、彼女の言動に対する怒りや悲しみの気持ちが同居しています。この相反する気持ちを持ち続けている限り、私には心の安まる時が来ないのではないかと思います。怒りや悲しみといった感情を、直接相手にぶつければ、それ以上に強力な怒りの反応を相手が起こすのでそれは絶対にできません。

 ただひとつだけ私にできたのは、出せない手紙を書くことだけでした。

 その一部をここに紹介しようと思います。私が今日ここに書いたことが、同じような親との葛藤(かっとう)を抱える方々の、何らかの道しるべになることを願っています。

 お母さんへ

あなたに決してみせることはできないけれど、正直な気持ちを綴っておきたいと思い、手紙を書きました。本当は、あなたときちんと話し合えることを長い間望んできましたが、あなたの今の様子を見ていると、それは無理だろうと感じました。だけど私の中にいつまでもしまっておくこともできませんでした。(中略)

あなたがいろんな苦労の中で私を育ててくれたこと、そして今も母親としての責任を果たそうとがんばっていることをどれほど感謝しているか分かりません。私は確かに病気がちで「育てにくい子」でした。ずいぶんと腹が立つことも多かったと思いますが、それでも時折見せてくれた気遣いを決して忘れないようにしたいと思っています。(中略)

あなたに対しては、まだ私の中にはいろんな感情があって、上手く整理ができていません。あなたにとってすでに過去になってしまったことが、私にとってはいつまでも過去にならず、そのことが人を遠ざけ、私を孤独にしてきました。だけど、どんなにたたかれても、どんなにきつい言葉を浴びせられても、あるいは感情的になったあなたが自分を傷つけようとしても、私はあなたを心底嫌いにはなれませんでした。傷つくと分かっていても、いつか分かってくれるのではないかという希望を捨てきれず、近づいてしまうのです。あなたにはわざと人を傷つけようという気持ちはないのだろうと思います。ただ、自分の痛みや苦しみを分かってほしいから、私にそれをぶつけてくるだけだと思います。あなたも、一人になることが怖いのだろうと思います。だから、あなたの言動をひたすら受け入れることが、私にできることだとずっと信じていました。

だけど、今までのように、何を言われてもどう振る舞われても平気でいることが私にはできなくなってしまいました。我慢しようとすると、苦しくなって具合が悪くなってしまいます。今はあなたと顔を合わせても普通でいられる自信がありません。あなたを傷つけてしまわないかと心配になります。

私はあなたの言動に今でも怒りを感じています。あなたの周囲を顧みない辛辣な言葉や衝動的な行動を憎んでいます。「バカヤロー」と言いながら殴る夢も、一度ならず見ました。本当は好きだけど憎む、という矛盾をずっと抱えてきました。でも、もう、ここで終わりにしたいと思っています。怒りや憎しみの感情は手放して、私は私を立て直し、新しい生き方を見つけたいのです。あなたの中にある、善意のかけらは信じていきたい、けれど、あなたが私にこれからも感情をぶつけようとするなら、私は私を守ります。今は少し、あなたと距離を置くことを許して下さい。これをあなたに告げると「どうせ誰からも気付かれずに死ねばいいんでしょ」とまた言い出すでしょうから、言えないですけど。しばらくの間、どうかそっとしておいて下さい。

あなたの子にうまれて、本当にいろんなことがあったけれど、いつかきっと良かったと思える日がくることを願っています。どうかお元気で、少しでも心静かに暮らせるように祈っています。



今年の母の日は、鉢植えのカーネーションを送りました。何度でも花を楽しめるから、そしてしばらくは贈り物も含めてあまり接触を持たないかもしれない、と思ったから。


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