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The real "Optimism":本当の前向きさ

 うつ状態に入っていると、配偶者がいつも口にする言葉があります。

 「もっと前向きに考えればすぐなおるよ」

 はいはい、その通りです。視点を変えること、物事のいい面にも目を向けること…それができればこんなに落ち込んでいないってば…と配偶者の言葉を聞きながらいつも考えます。この人が言うのは正論。だけどそれができないから苦しんでいる人がたくさんいるし、たくさんの抗うつ剤が市場に出回っているわけだから。

 心理学の世界には"Positive Psychology(前向きさを研究する心理学)"という分野があります。一言で言うと、前向きな態度をどう養っていくかということを研究している学問ということです。こういう学問があるくらいですから、前向きになりたい人、興味のある人は多いのでしょう。

 では、本当の前向きさって何でしょう?

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ひねくれ者

 今日の私はかなりひねくれています。
今日からGWなのに、ぴょろは友だちと遊びに行き、配偶者は一人で出かけ、家に残ったのは私一人。

 本当は、GW期間中は自宅で久しぶりにのんびりできると思っていたのですが、派遣先の中学校から緊急呼び出しがあり、今日の夕方K市へ戻らなければならなくなりました。連休が終わると、仕事が一気に増え、自宅へはなかなか戻れなくなります。だからよけい、動きたくなかったし、家族と過ごしたかったのに。

 子どもが大きくなると、こんなものなのか?と思いました。

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たとえ治らなくても

 相変わらずPTSDの治療は続いています。
EMDRという治療法を一言で言い表すのは難しいです。眼球の左右あるいは垂直方向への動きを人工的に起こさせるか、あるいは音、タッピングなどの体への刺激を交互に与え、それと同時に、過去の出来事の中で最も辛かった場面を思い出しながら進んでいきます。

 ビデオを見ているように、時間順に思い出すとは限りませんし、こんなこと忘れていたのに…という事を思い出したり、やっている最中は何が起こるか分かりません。

 しかも、出来事だけでなく、それに伴う感情や体の感覚も出てきます。ちょうどおもちゃ箱をひっくり返したような感じで一度にど~んと出てくるので、その後が少々大変です。しかし、出てきても、ずっとそのままというわけではなく、次第にそれが落ち着いて、あるいはなくなっていくので不思議です。

 この一連の作業を「記憶の再処理」という呼び方をします。再処理のスピードは非常に速く、再処理が終わったいやな記憶は、思い出しても再処理前のような、こころや体の反応はなくなっています。人によっては、鮮明で圧倒されそうな記憶がぼやけた感じになったり、詳細に思い出せなくなることもあるようです。

 なぜそういう事が起こるのかがよく分からない、不思議な治療法です。

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分かってもらえたという体験

 今日は仕事の事を考えないようにして1日を過ごしました。
そのまま平和に明日を迎えられるかなと思ったのですが、またまた配偶者に引っかかってしまいました。このイライラした状態で眠りにつくのは避けたいので、何とか気持ちを落ち着けたいと考えていたら、ふとある人の事を思い出しました。

 M先生は、私の大学院(修士課程)時代からの恩師で、私のスーパーバイザーでもあり、私に催眠療法を教えてくれたアメリカ人です。

 2年前まで、私の住む地域にある外国人のためのサポートセンターで、カウンセラーをしていました。今は、本国に戻り、大学と大学院で教鞭を取っています。

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ぴょろの障害を受け入れた時

 少し前にカイパパ通信blog☆自閉症スペクタクルで取り上げられた【あの頃】「わが子の障害が分かるまで」体験談募集の記事を読ませていただきました。皆それぞれに受け入れるまでのプロセスがあるよね、とうなずきながら読みました。

 ぴょろはADHD(注意欠陥多動性障害)で、自閉症スペクトラム障害とは少し発見までの状況が異なりますが、それでも親としていろんな思いをしました。そういえば、まだきちんと整理できてなかったかもしれないので、もう一度思い出してみることにしました。

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親として伝えたいこと

 久しぶりの書き込みです。

 今日の夕方単身赴任先のK市に戻ってきました。
コピーをとるために立ち寄ったコンビニで、珍しく新聞を買い、アパートに帰って読んでいると、

「記者の目:自閉症児の父として(毎日新聞)」という記事に目がとまりました。

自閉症の子供を持つ親としての心情をつづった記事です。読んでいて目頭が熱くなりました。自閉症の事をもっと知ってほしいという真剣な思いが伝わってきたからです。

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休むのは今しかない

 おとといから体調を崩しました。

 いろいろあって、燃え尽きたのかな、と思います。
 PTSDはまだ治っていないので、今も夜中や朝方に目が覚めて眠れない日が多いです。物音に敏感で、眠りが浅く、悲しい夢もよく見ます。いろんなことをぐるぐる考えるのですが、出口がないような。

 それでも昨日何とか大学の講義は終わらせて、自宅に戻る前に大学病院へ立ち寄り、早退することを伝えに行きました。

 その時にたまたまその場にいた助手の先生が、「私も前に休んだ時、別の先生から ”忙しくはすぐなれるけど、休むのは今しかないよ”と言われたよ」と私に声をかけて下さいました。

 その言葉がずしりときました。

 とにかく今は少し休もう、と思います。休んで元気になれたら、また一歩踏み出せばいいんですから。

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一度この目で見てしまった人は…

 今年、恩師からの紹介で、ある大学の看護学部で授業を受け持つことになりました。(これが単身赴任の理由の一つです)

 後期の授業で、看護士のタマゴさんたちに心理学を教えます。授業の中で、私は大人の自閉症スペクトラム障害と性的虐待の2つの問題を1コマ使って取り上げることに決めています。

 どちらも、私がこれまでに取り組んできたテーマです。

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キョーフの家庭訪問・その後

 前回の記事を書いた数時間後に、担任の先生が我が家にやってきました。

 サービス精神旺盛なぴょろは(多分配偶者の父に似たんだと思います)、先生を近くまで迎えに行き、自分で飲み物とお菓子を出してもてなしていました。(普段はこんなことやらないけどね…)

 先生から最初に聞かれたのは(私立校なので)中学をどうするかということ。私が単身赴任中であることを話し、どこに移動するか分からないので決められない、と答えて終わり。

 その後、いよいよADHDについて話し始めました。…が、


Sana:「この子は不注意が目立ち、多動もまだ残っていると思います」
担任:「いや、そういう風には見てませんでしたけどねぇ」
Sana:「はあ…」
担任:「他の子供たちで、私の目から見て目立つ子は何人かいますが、(ぴょろのことは)全然気がつきませんでした」

 ぴょろのクラスはもともと騒がしくてまとまらないらしく、他にも明らかにADHDの子もいて、先生から見て全然目立たないと言われてしまいました。

 しかし、注意欠陥優位型であること、たまにぼんやりしてたり話を聞いていなかったり、提出物をぽっかりと忘れる、ケガが多い…ことなどを話して、テストの見直しなどの多少の配慮をお願いします、と言いました。

 担任の先生は、ちょっと神経質な親だと思ったようでしたが、私が発達心理学、とりわけ軽度発達障害の子供や大人への援助に取り組んでいることを話すと、ようやく納得した顔で「分かりました」と答えてくれました。

 用意したプリントは、ちゃんと持って帰ってくれました。

 来年中学になっても、同じ事を毎年続けていくしかないのです。いくつになっても、ADHDの子供たちにとって、周囲の配慮は充実した学校生活を送るためには欠かせないからです。

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キョーフの家庭訪問

 ブログの更新が5日間ストップしてました。

 先週から私は、F県K市に単身赴任となり、5日ぶりに自宅に戻ってきました。向こうで引っ越し荷物を片づけていた時にうっかりノートPCを落としてしまい、電源を入れても画面が真っ暗なままに。それで、メールも見られずネットにもつなげず、不自由な思いをしました。

 今日自宅に戻ってきたのは、夕方家庭訪問があるから。

 毎年ながら、緊張する瞬間です。

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父親の役割

 先週末、福岡で地下鉄に乗りました。

 土曜日の朝早い時間だったので、かなり空いていました。福岡空港から博多駅までのわずか5分の乗車。

 同じ駅から、2組の親子連れが一緒に乗り込んできました。一組は私の目の前の席に、もう一組は私のすぐ隣にすわりました。

 どっちもお父さんと息子の2人連れ。目の前の親子は、息子が大学生らしく(多分受験に合格したばかりとみた)電車に乗る前からずっと楽しそうに(関西弁で)会話していました…というよりは、息子がしゃべるのを父親が「うんうん」と聞きながら、たまに父親が返す、という感じでした。

 隣の親子は、父親はまだ若く、子供は小学校1,2年かな?というところ。父親は子供のかぶっていた帽子を直したり、頭をなでたりしていました。会話はないけど、気遣う様子は見て取れるくらい。

 見ている方がほっとするような光景でした。

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私のための時間

 今朝は研究所でお仕事でした。
1ヶ月ぶりにこられた方とカウンセリングをしていたら、ご本人の口から、「私のための時間をもつことって大切ですよね」というお言葉が。

 それまでは子供のため、家族のために一生懸命に頑張ってきた人。そんな人が笑顔でそう言いました。

 一生懸命に頑張ってきたけれど、家族にいろんな問題が出てきてどう対応していいか分からずカウンセリングを希望された方でしたが、話しているうちに段々と気持ちの整理が着いてきて冷静になれた、最近になって始めた仕事がたまたま本人に合っていたらしく、楽しいしやりがいも感じている、とその後も話が続きました。

 この方の言葉がずしんと心にきました。

 最近、自分のための時間ってあったっけ?もちろん、時間があって子供とゲームで遊ぶこともあるし、一人で出かけたりもするけれど、いつも何か用事のためだったり、家族のためだったり。

 そういえば、最近心底楽しいと感じたことがなかったなあ、と気がついた。ゲームもフラッシュバックや過覚醒症状の辛さを忘れるためなので、頭はとりあえずすっからかんにできるものの、あまり楽しめてはいませんでした。

 カウンセリングをやっていると、時々実は私に言われてるんじゃないか?とぎくりとすることがあります。

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「算数勉強して何の役に立つの?」

 3学期の終了式の日、ぴょろが見せてくれた通知表。
ぴょろは切れ者なので、いい成績のものからしか言いません。最後にやや下向き加減に、「算数オレだめだから」とぽつり。

 ぴょろは確かに、算数が目立って苦手です。特に図形の概念を理解するのが難しいらしく、勉強したことはなかなか頭に残らないです。私が教えると、段々腹が立ってくるほど飲み込みも遅い。

 そのぴょろが突然、「算数勉強して、何の役に立つの?」と私に質問してきました。ぴょろは絵が得意で将来イラストやデザイン関係の仕事をやりたいみたいです。なるほど、算数を勉強しても将来使わないんじゃないか、と言いたいのかなとも思いましたが、ここはちゃんとまじめに答えた方がいいと感じて、しばらく考えた後、

「今やっている算数の勉強は、大人になっても買い物したり仕事したりいろんな場面で使えるから、役に立たないことは絶対ないと思うよ」

と言っておきました。

 ぴょろは公文に小3から通っていますが、算数の宿題をどうしても後回しにします。国語もけっこう時間がかかるのに、それでも理解できるから楽しいのか、自発的にやるのです。しかし算数は分からないのでやらず、やらないからさらに分からないという悪循環に陥っている気がして、おとといぴょろに”算数、どうやったら分かるようになるんだろうねえ”、と聞いてみました。

 彼の答えは「やっぱ復習かな」

 分かっているんだったらちゃんとやってくれよ、と内心思ったのですが、どうせこちらがハッパを掛けないとやらないことは百も承知です。

 子供の理数系離れの事が言われるたびに、確かにこつこつと勉強しないとなかなか理解できない科目だけに、敬遠されるのかとも考えます。しかし、将来職業についたときに勉強したことが役に立つかと言われると、理数系の大学を出た私でも、今全然違う仕事についているわけで、役に立つかどうかを勉強の動機にはできないなあと思います。

 ぴょろのように軽度発達障害を持つ子供たちの中には、数式や図形の概念を理解するのに時間のかかる子はたくさんいると思います。将来の進路に関わらず、苦手なら苦手なりに、「わかる」体験を積み重ねて算数自体に興味が持てるような教え方の工夫はやはり必要なのかもしれません。苦手を克服しなければならないということではなく、彼らが「自分にもやれる」と思えるように。

 その反面、やればちゃんと分かるのに「算数はめんどくさいから」とやらない子供たちがいるのも確かです。しかし、そのまま算数嫌いになる子ばかりではなく、きっかけがあれば好きになって頑張る子もいます。やはりなにがしかの対策は必要なんでしょうね。

 私は完全に理数系の人間で、今でも計算などの数学問題を解くのが大好きです。別にぴょろに同じようになってほしいとは思わないのですが、算数が苦手でもせめて嫌いにはなってほしくないなあ、と思います。

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Silent Voices

 ある患者さんについて、アスペルガー症候群かどうかの判断を来週までにしないといけなくなり、昨日からずっとその事で頭がいっぱいです。

 医学的な診断はお医者さんのお仕事ですが、私はその方の機能障害とか心の問題についての評価を任されています。

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アクセス分析を見ながら考えました

ココログプラスに変更してから、アクセス分析なるものができるようになったので、ちょっと見てみました。

1週間のアクセス数が、およそ500。
ということは、1日当たりの平均は約71件ということになりますね。

曜日別で見ると、週末より週の半ばが多く、時間帯別では、お昼前、夕方と夜中に集中しているようなので、多分ブログを見て下さっている方の殆どはお仕事なさっているか、あるいは子供さんがいらっしゃる方ではないかと予想してます。

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”もっと知りたい”が研究の出発点

 さっき共同通信の記事から、おもしろいものを見つけてきました。

 ドラえもんを真剣に研究している人がいるんですねぇ。こんな内容です。


ドラえもんの秘密道具はいくつある? 人気漫画「ドラえもん」を学問的に研究している富山大教育学部の横山泰行教授(62)が、単行本や雑誌などに掲載された全作品を調査した結果、計1963個に上ることが分かった。
 秘密道具の数をめぐっては、出版社やファンの間でも諸説あるが、横山教授は「これほど厳密に調べた例はほかにない」としており、話題になりそうだ。
 横山教授は藤子・F・不二雄さん(1933-96年)が描いた1344話すべてを収集。秘密道具を現代技術では実現不可能なアイテムと定義した上で集計した。
 ドラえもんは69年12月発売の「小学4年生」(小学館)などで連載が始まり、のび太の家を訪れた際に使った「タイムマシン」が最初の秘密道具。「タケコプター」「どこでもドア」ととも頻繁に登場するが、道具の9割以上が1回しか使われていない。

1963個という数が多いか少ないかは別として、9割以上が一回しか登場していないというのはすごい。藤子さんの想像力自体が四次元ポケット並みということなのかもしれませんね。

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Stop Walking on Eggshells:境界型人格障害の人を家族に持つ方々へ(1)

 なんだか長いタイトルだなあ、と思ったのですが、これしか思いつかなくて。

 今日からしばらくは、大人が抱える精神的な問題で最も難しいものを取り上げようと思います。

 それは、境界型人格障害(Borderline Personality disorder:BPD)と大人のアスペルガー症候群の2つです。アスペルガーについてご紹介する前に、先にBPDを取り上げておきたいと思います。それは、この2つに共通する部分が多いからです。

 病院では、来院された患者さんと直接お会いするのがほとんどですが、民間のカウンセリング研究所では、問題を持つ当人でなく、ご家族の方の相談を受ける機会がときどきあります。私は発達障害児の育児相談なども引き受けていますが、割合的には多くなく、むしろ引きこもりの相談が最近は増えています。

 ここ数日、家族からの相談が連続して3件ありました。しかし、発達障害でも引きこもりでもなく、とにかく問題のある本人とどう関わっていいか分からないというものでした。

 みな、境界型人格障害(以下BPDと略します)を配偶者や家族に持っている方々です。

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