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”こころのバリアフリー”の前に

今朝付け毎日新聞(オンライン)から「差別解消目指し厚労省検討会が指針」というタイトルの記事を見つけてきました。(情報元はyahooニュースです)


 精神疾患や精神障害者への偏見・差別を解消しようと、厚生労働省の検討会は25日、「『こころのバリアフリー宣言』~精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すために」と題する指針をまとめた。関係機関に配り、啓発活動に役立ててもらう。


 指針によると、精神疾患は国民の5人に1人がかかるという調査結果が出ており、糖尿病や高血圧などの生活習慣病と同じ身近な病気だと分析。早期の発見・治療で十分回復が可能で、「自分だけは大丈夫」と過信せず、ストレスを減らす生活を心がけることが必要と指摘している。


 そのうえで、社会が精神障害の問題を受け入れ、障害者が安心して暮らせるよう、教育現場や職場での啓発や支援活動を推進することを提言している。

 精神疾患といっても、この書き方だと、多分うつ病とか不安障害あたりを指しているのかな?とも思いました。精神障害には統合失調症や各種発達障害、精神遅滞などが含まれるのかもしれませんが、とにかく内容は実物を見てみないことには何とも分かりません。

 こういう指針が、精神疾患あるいは精神障害に対する社会的なバリア(壁)をなくしていくために何かのきっかけになってほしいという気持ちもあるのですが、その前にもう一つ基本的な視点が欠けていないだろうかと、個人的には思います。

 
 私は仕事上、精神疾患あるいは障害を持つ方が常に何らかの偏見や差別というものを体験していることを実感しています。しかし同時に、彼らをひとくくりのグループとして見ることは、必ずしも現実的でないとも思っています。

 うつ病を例にとると、症状中心の見方だと皆同じうつ病のカテゴリーに当てはまるかもしれません。しかしうつ病の発病に至るまでの経過や家族・社会的な背景は個人個人で違います。個人が何に困っていて、何に悩んでいるかは、たとえ同じ職場で複数の人が同時にうつ病になったとしても、全然違っています。
 
 うつ病の医学的な診断基準についても、その全てを満たさないとうつ病にならないということはありません。症状ですら、共通点があっても個人により表し方には差があるのです。ところが、診断ではこの「個人差」がしばしば無視されています。

 私は今回の指針だけでなく、精神疾患への対応についての様々な提言に、「一人一人が違っている」という考え方が欠けているように感じています。健常者と障害者という2つのグループに分けて人を見るなら、その間に壁ができるのは避けられないと思います。その壁をなくしてもまだお互いがグループとして存在するなら、また新たな壁ができる可能性もあります。

 その壁をなくしてしまうためには、グループ分けをしないで、「一人一人違った存在」が集まるコミュニティーとして今の状況を見る必要があるのではないかと思います。

 個人的には、どこまでが健常者かという境界はきわめてあいまいだと思っています。精神疾患の診断も、例えば眠れないとか気分の落ち込みとか、そういうものは誰にでも多少なりとも経験があるし、不安も心配も、人間が基本的に持っているものだと考えると、病気かどうかの判断は、正常範囲からどのくらいかけ離れているかを基本に考えることになります。その「正常範囲」の大きさで、判断が違ってくることになるわけです。

 ところが、この「正常か否か」の考え方だと、多様性の視点が失われてしまいます。

 発達障害についても、正常の発達曲線からどの程度はずれているかで見てしまうと、個人差が見えなくなってしまいます。もともと子供の発達は個人差が大きいので比較の基準はあいまいです。だからこの月齢では何%の子供がこれだけのことができているはず、という視点で判断してしまうことには大きな落とし穴があります。個人の成長のペースの違いを考慮しないかぎり、正確な判断は難しいです。

 精神疾患あるいは障害について理解するためには、どんな症状や問題を抱えているのかという、症状(問題)中心の見方だけでは不十分だと思います。機能中心の見方も必要だと思います。健全に保たれている機能、援助があれば発達ないしは回復する機能、そして失われており外からの介助が必要な機能が何かということを個人レベルで考えていかない限り、どう対応すればいいのかという方向は見えてこないでしょう。

 精神障害を受け入れるということの前に、「一人一人の違い」を社会が受け入れられるようになる必要があるのではないかと感じています。


 

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Comments

はじめまして。うつ病患者で大学病院精神科に通院している30代の男です。精神障害者手帳2級を持っています。

周囲の人々に精神疾患がなかなか理解されない現状が本当にしんどいです。
自分はうつ病を患っています。それを人に言うと『そんなん私でもうつな気分になることなんてある』『単なる気の持ちよう。がんばれ!』『バイトに雇ったばっかりで申し訳ないですが、人と接する仕事なんで、すいませんが辞めてもらえませんか?』などなど言われました。

でも最近では、『精神疾患を理解してもらおうと考えること自体間違いなのかな‥』と思うようになりました。理解できないなら理解できなくていいと考えるようになりました。

ずっと一人で生き地獄を歩いていきたいと思います。

Posted by: 匿名希望 | 2011.02.26 at 11:25 PM

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