6日間滞在した東京からやっと戻ってきて、今朝見つけたニュースがこれ。
中身の一部を紹介します。
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2歳児までテレビ我慢を 母親7割「授乳中にも視聴」--日本小児科医会が提言
提言では、(1)授乳・食事中はテレビ・ビデオは止める(2)小学校入学前の乳幼児はメディアと接触する総時間は1日2時間、テレビゲームは同30分までが目安(3)子ども部屋にテレビ、ビデオ、パソコンは置かない――などの注意事項を挙げている。米国の小児科医らも99年、2歳児まではテレビを見せるべきではないとの警告を出しているという。
同会によると、言葉が遅れていたり、視線を合わせない、友人と遊べないといった乳幼児が最近、臨床現場から数多く報告されるようになり、そうした家庭ではビデオやテレビを長時間見せている例が目立つ。小児科医が視聴をやめるよう助言したところ改善したケースも少なくないという。
提言をまとめた同会「子どもとメディア」対策委員会の内海裕美さんは「親子が顔を合わせて遊んだり、外で遊ぶ時間がなくなったことが、子どもの健全な発達を妨げている可能性がある」と指摘している。
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小さい(2歳以下の)子供にTVを見せることが、脳の発達にネガティブな影響を与えるのではないか、という言い分はわかりますし、裏付けもありますが、ようは程度の問題ではないか、と個人的には思うのです。
1日10時間も子供がTVを見ている状態というのは、TV以上に別の問題があると思います。
そういう場合にTVを見る時間を減らして、もっと子供との関わりを持ちなさいという助言は妥当かもしれません。
しかし、親が食事の支度や家事で手が離せない間、アンパンマンや教育ビデオに子守をしてもらった経験は、かなりの人が持っておられるのではないかと思います。現に私もそうでしたし。
私の場合、一緒にTVを見ながらアンパンマン体操をやったり、キャラのものまねをして遊んだ経験もあります。
ぴょろ1歳半~3歳くらいまでの話です。
ただでさえ、密室で親子2人だけ(あるいは子供が複数だったら3人とか4人とか)の昼間に、TVもビデオも見ないでどうやって子供にかかわればいいのか分からないという疑問は当然出てくるでしょう。
しかし、それに対する提言やヒントは何もありません。ただ見せないほうがいい、というだけでは何の解決にもなりません。
それから、この研究にはもう一つの問題があります。それはinterrater reliabilityと呼ばれるものです。
簡単に言うと、子供の行動や状況を誰が評価したか、ということです。
親の評価なのか、小児科医や保健士、あるいはそれ以外の評価者が子供の様子を観察してのことなのか?
実は、同じ子供でも、評価する人(これは仮に専門職に限ったとしても)によって評価が違うということはよくあることです。言葉の出る前の子供についての研究では、度々問題になることです。
2歳以下に限って言うと、子供にTVを見せないということはつまり(子供が起きている時間に)親も見ないということとも受け取れます。つまり、言葉やコミュニケーションの発達の遅れは、子育ての問題でも起きるんだ、と暗に親にプレッシャーをかけているとも(意地悪ですが)受け止められかねません。
この、度々出る小児科医の提言には、底辺に共通した考え方があります。
それは、「愛着(attachment)」と呼ばれるものですが、これについては別枠で述べます。
とにかく、私には2歳以下のお母さんにTVを見ないほうがいいです、なんて言えません。TVをどう利用しているかが気になることはあっても、これ以上子供の発達の遅れで真剣に悩んでいる親を追いつめるようなことはしたくないですから…。それに親の立場としてはちょっと現実的でない気もしますしね。
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