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The Most Impressive Massage (最も印象的だった言葉)

 相変わらず風邪で、喉も鼻もやられています。
おかげで日帰り出張からは無事に帰ってきましたが、機内の強い乾燥と寒気のダブルパンチに会い、耳鼻科に駆け込むことになりそうです。

 カイパパさんが紹介しておられた記事を読ませていただいて、桜井さんの「偶然に期待する」という言葉がとても印象的でした。その時に、ふと、私が全然関係ない分野から心理に専門を変える大きなきっかけとなったあるメッセージを思い出して、これをぜひ紹介したいと思いました。これは、私が留学中に授業で使われたある教科書の隅に書かれていた文で、別に読まなければならないものでもありませんでした。その教科書とは、いわゆる精神疾患(こころの病気)を詳しく解説したもので、その一例として実際の患者さんにインタビューした記事を、ところどころに載せてあったのです。

 私の目を引いたのは、統合失調症を抱えながら、臨床心理士(しかも博士号を持っている)の仕事をしている男性のインタビューでした。彼は、26歳の時、アメリカ海兵隊の技術職であったその頃に統合失調症を発病し、その後10年間で300日以上の入院を経験し、20年以上経った現在も、時折幻聴などの症状を経験しています。体調に波があるので、調子の良い期間に彼は大学院へ進学して心理学博士号を取り、今も体調と相談しながら仕事を続けています。その方が、ご自分の発病から今現在に至るまでの病歴について語ったあと、最後にこんなことを言ったのです。

 英文で読める方のために、まず原文を紹介し、そのあと日本語訳を紹介します。日本語では伝わらない部分があるかもしれませんが、ご了承下さい。

 "During the time between breakdowns, I have earned a PhD in psychology and worked as a psychologist and administrator in a large state hospital, helping other people with schizophrenia who have not learned to cope as well as I have. I very much like being around the patients because I can see a lot of myself in each of them. We have common experience. Whether the patients might be a 'mystic Abyssinian warrior' or hiding from 'the Green Gang' whether they are hearing voices or cannot button their shirts properly, I remember 'being there'myself, and I know it is possible to return from that 'parallel reality' that one enters through the mechanism of psychosis."

(統合失調症の)再発と再発の合間に、私は心理学で博士号を得て、心理士及び管理職として(オハイオ)州立病院に勤務し、私のように病気とうまくやっていく術をまだ身につけていない統合失調症の患者さんを援助しています。私は患者さんのそばにいることが本当に大好きです。なぜなら私は彼ら一人一人の中に、私自身の姿をたくさん見出す事ができるからです。私たちは共通の経験を持っています。彼らは「魔術を操るアビシニアンの戦士」か、あるいは「緑のギャングからの逃亡者」であるかもしれませんし、幻聴が聞こえたりあるいはシャツのボタンときちんととめられないかもしれませんが、私は私自身もまた、”そこにいる(同じところに存在している)”ことを思い出します。そして精神病のメカニズムが生み出す「パラレルな現実*」から抜け出すことも可能であると、私は知っているのです。

 * 現実のようで現実でないという意味。

 さて、このメッセージは、誰かに向けて発せられたものかどうかは分かりません。また教科書ですから、読まなければ気がつかないままで、そんなのあったっけ?という学生さん達の方が圧倒的に多かったかもしれません。

 しかし私は、この文を読んだときに、体中に電流が走るような感覚を味わいました。それは、人は自ら大きな問題を抱えながらでも、誰かのためにここまでやれるのか、ということを知った衝撃とも言えるかもしれません。統合失調症の症状の辛さを味わいながらも、目標からそれない、意志の強さもすごいもんだ、と感心させられたことを、今もはっきりと覚えています。

 この方は、もしかしたら、私たちのような専門職のタマゴさん達に、統合失調症について理解を深めてほしいと思っているかもしれませんし、おそらく周囲の無理解や壁に泣いたこともたくさんあったかもしれません。しかし、この「誰かに向けられたわけではないかもしれない」メッセージは、私の人生を根っこから変えるほど強い影響を与えました。

 同じメッセージを100人が読んだとしても、100人の受け止め方はそれぞれに違うと思います。上のメッセージも、こんな病気を持ちながら仕事がちゃんとやれるのかと疑問を挟む人も、必ずでてくると思います。しかし、100人のうちの一人でもこの文を読んで何かを感じ、生き方を見直すきっかけになるなら、投げる価値が十分にあるように感じます。

 どのようなメッセージでも、ありのままを、ストレートに伝え、後は受け取り側に任せるということも、大切なのかもしれません。もちろん、自分の使っている言葉や態度に十分に気をつけながら、ですけど。

 

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Comments

Pretty! This has been an incredibly wonderful post. Many thanks for supplying these details.

Posted by: 1997 ford explorer lower ball joint replacement | 2014.06.27 at 11:37 PM

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